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スタンフォード式 最高のリーダーシップ

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 スタンフォード式 最高のリーダーシップ

理想のリーダー像を聞かれたら、どんな人を思い浮かべるだろうか。

カリスマ性があって、強い意志を持ち、チームを引っ張ってくれる人? 

それとも、知識や経験が豊富で、的確に成功へと導いてくれる人だろうか。


本書を読むと、そのどちらも理想的なリーダーではないことがわかる。

もっといえば、「理想のリーダー像」を他人事のように考えていること自体が間違いだと知ることになる。

本来、すべての人がリーダーであり、リーダーシップを持って仕事に取り組むことが必要だ。

リーダーシップは、自分が成長するためにも大切なスキルなのである。


著者のスティーヴン・マーフィ重松氏は、スタンフォード大学医学部で教鞭を執っている人物だ。

彼のリーダーシップ論は、西洋と東洋の英知を融合させながら、心理学や脳科学の知見に下支えされている。

そのため非常に信頼がおけるうえに実践的だ。


本書は、エゴと謙虚さのバランスがとれた、「アサーティブ・リーダー」という、めざすべきリーダー像を提示する。

そのうえで、アサーティブ・リーダーに必要な4つのスキルを体系的に解説してくれる。


チームの運営がスムーズにいかないと悩む人にこそ、本書をおすすめしたい。

もしかしたら、間違ったリーダー像にとらわれているのかもしれない。

読後には、最高のリーダーシップを身につけることの意義を痛感するだろう。


〜ライター 中山 寒稀〜



  • ポイント1
    リーダーシップとは、生き方であり、働き方である。
    すべてのビジネスパーソンに必要なスキルであり、リーダーシップを備えた人が影響し合う職場は、
    組織として強くなる。
  • ポイント2
    自分の弱さを受け入れ、チームのメンバーにその弱さをさらけ出すことで、
    メンバーとの信頼関係が生まれる。
  • ポイント3
    チームのリーダーの役割は、チームを引っ張ることではない。
    メンバーの背中を押し、その人の最高の能力を引き出すことである。

最高のリーダとは?

リーダーシップとは生き方であり働き方である

私たち一人ひとりにはリーダーになる能力があり、そうなるべきなのだ。
それを素直に信じられるかどうかは、自分はリーダーだと自負があり、
自分の能力に自信が持てるかどうかの違いにすぎない。

私たち一人ひとりが「自分が今、何をすべきか」を決定して、
主体的に最終的な判断を下し、一体となって最善の道へと進んでいく。
これが、仕事の現場で最高のパフォーマンスを発揮するために欠かせない。

リーダーシップを備えた人が影響を与え合う職場は、組織として強くなる。
そして、リーダーシップを発揮する働き方は、その人個人を成長させる。
リーダーシップとは、生き方であり、働き方でもある。

人間性心理学をはじめとする心理学的エビデンスや脳科学の知見などに支えられ、
伝統的な知恵と科学的な裏付けをブレンドした最先端のリーダーシップ。
これを身につけることにより、リーダーとして、チームや組織で成果を出せるようになるのだ。

最高のリーダーに必要な「4つのリーダーシップ」

めざすべきリーダー像として「アサーティブ・リーダー」を提唱する。

「アサーティブ(assertive)」とは、直訳すると「主張型」「積極性」という意味だ。

アサーティブ・リーダーになるためには、4つのリーダーシップを身につけなければならない。

(1)Authentic Leadership(本質的なリーダーシップ)

(2)Servant Leadership(支援するリーダーシップ)

(3)Transformative Leadership(変容をもたらすリーダーシップ)

(4)Cross-Border Leadership(壁を越えるリーダーシップ)

アサーティブ・リーダーは、積極的に主張し、人を動かす。
エゴと謙虚さのバランスをうまくとって、弱さを内包した本当の意味での強さを身につける。
さらには、自分自身を尊重し、人を否定することなく、自分とチームの利益のために行動できる。
先述した4つのリーダーシップを兼ね備えることにより、人としての厚みが増す。
やがて、その存在自体がチームを引きつけ、求心力を高めていくのだ。

リーダーは仕事上の役割だが、リーダーシップは個人のためのスキルである。
一人ひとりがリーダーシップを発揮することが、成果を出し続け、
自分を成長させるうえで重要なのである。

人心をつかむオーセンティック・リーダーシップ

本当の自分を表現する


本要約では、4つのリーダーシップのうち、「オーセンティック・リーダーシップ(Authentic Leadership)」「サーバント・リーダーシップ(Servant Leadership)」の2つを紹介する。

まず、4つの中で土台となるのが、「オーセンティック・リーダーシップ」だ。
オーセンティックな状態とは、自己を知り、ありのままの飾らない姿を指す。
嘘や気取りがなく、本当の自分を表現することで、周りの人に信頼感を与える。

オーセンティック・リーダーシップを磨くには、次の5つの方法がある。
(1)「弱さ(ヴァルナビリティ)」を認める、
(2)「役割性格」を越える、
(3)「人」と比べない、
(4)自分の「生涯の大きな目的」を見つける、
(5)「超・集中状態」になる。

この5つを実践すると、自己を知ることができ、それが他者理解にもつながっていく。
すると、他者の感情を感じながらも客観的でいられる「コンパッション」な共感ができるようになる。
これは、部下の気持ちを理解した上で解決策や目的、とるべき行動を示すのに役立つ。

これら5つの方法は連動している。1つの方法がうまくいけば、他の方法もうまくいくようになり、
オーセンティック・リーダーシップ全体が高まっていく。

弱さは自信に変わる

ここでは、オーセンティック・リーダーシップを磨く5つの方法のうち、
(1)「弱さ(ヴァルナビリティ)」を認める、
(2)「役割性格」を越える、の2つをとりあげる。

(1)については、自分の弱さを受け入れ、さらけ出すことである。
これにより、人はあなたを、「取り繕いがない、常に本心でいてくれる存在」だとみなし、信頼するようになる。

しかし、弱さを正直に見せるといっても、すべてをさらけ出してはいけない。
たとえば、トラブルが勃発し、プロジェクトが頓挫しそうなケースを考えよう。
このとき、リーダー自身が「私も不安だ」という弱さを見せるとどうか。
チームメンバーは不安や問題点をいいやすくなるし、情報共有が進んで、トラブルを解決できる可能性が高まる。

しかし、それで終わってはいけない。
リーダーが「私も不安だが、このように行動しよう」とストーリーを提示してはじめて、周囲も前向きに考えられる。
チームを導くような結論を示して、弱さを起点とした成長のストーリーを描くのだ。

役割性格を越える

弱さを見せ、無防備になることが難しい場合は、オーセンティックになるための第二の方法、
「役割性格を越える」を試してみよう。

役職ありきで自分をとらえているリーダーは多い。
つねに「課長として、部長として」という立場で語っていたら、弱さなどさらけ出せないだろう。
しかも、オーセンティック・リーダーシップを身につけていないリーダーに限って、
自信満々で「自分は良いリーダーだ」と信じていることが多い。このようなリーダーほど、
自己評価と他者評価に乖離があり、チームのメンバーは、「ひどいリーダーだ」と思っている恐れがある。

では、鎧を脱ぎ捨てて、役割性格を越えるためには、どうしたらいいのだろうか。
そのカギは「ビギナーの心」にある。「自分は100%に達している」と思った人は、もう成長できない。
これに対し、「自分は、まだまだ」というビギナーの心を持ち続ける人は、もっと成長できる。
大事なのは、「部下が知っていて、自分が知らないこともある」と相手を認めることだ。

リーダーが、わからないことをチームのメンバーに尋ねることで、相手には
「役割を外して、そのままの自分で接してくれている」と、リーダーの人間味が伝わるのだ。

支援をするサーバント・リーダーシップ

リーダーとは「背中を押す人」

部下の能力を引き出して、背中を押すのが「サーバント・リーダーシップ」である。
つまり、人に奉仕して、その人の中から最高の能力を引き出すのだ。
相手の主体的な行動を支援することが、最終的にチーム全体の生産力を高め、目標達成につながっていく。
同時に、チームのメンバーから、リーダーとして本物の信頼を得られるだろう。

中国の思想家、老子はこんな言葉をのこしている。
「人の上に立とうと思うなら、謙虚な気持ちでへりくだりなさい」
「理想のリーダーとは、みんなに『リードされている』と感じさせない人だ」。
これは現代の文脈では、次のように解釈できるだろう。
「リーダーたるもの、一歩下がって援護に回り、部下を前に出して、主体的に取り組ませなさい。
部下が上司にリードされたことに気がつかず、『自分でやり遂げた』と思えるぐらい、自然とリードしなさい」。
つまるところ、リーダーとは昔から、「背中を押す人」なのである。

リーダーが「遭難」する理由

「リーダーシップとは、力強くチームを引っ張ることだ」。こうした思考に固執しているリーダーは多い。
彼らは自分の背中を見せて、部下がついてくることを期待し、文字通り「先導者」になろうとする。
しかし、ふと後ろを見ると、部下は誰もついてきていない。この遭難ともいえる状況は、日常的に生じている。

「自分が前に出る」という思考の裏側には、2つの心理がある。1つは、「自分以外、信用できない」という心理だ。
能力が高く自信があるリーダーにありがちで、「部下に任せたら、失敗するかもしれない」と考え、一番前で独走する。
これでは、部下を信用していないというメッセージを発することになってしまう。

2つ目は、「部下にナンバーワンの座を奪われたくない」という心理である。優秀な部下に追い抜かれ、
「一番前」というポジションが奪われるのが怖いのだ。そのため、部下に仕事を任せず、決定権も持たせない。

もちろん、大きな成果を上げ、すべてを決定してチームを成功に導くリーダーもいる。
こうしたリーダーは、カリスマとして熱狂的な人気を集めることもある。
しかし、どんな天才であっても、一人で頑張って成果が出るのは短期間だ。
その先は、「チームの破滅とリーダーの失墜」が待っているといってよい。

任せる技術

サーバントなリーダーになるには、一歩下がって部下を前に出し、主体的に課題に取り組ませることが必要だ。

しかし、主体性を持たせることは簡単ではない。
「マイクロマネジメント」という問題を持つリーダーが多いのだ。
部下の実務に手を出し、仕事を奪い、成長を阻んでしまう。
部下も「任せてもらえない」とストレスをためて、リーダーへの不信感を募らせてしまう。

この背景には、部下に仕事を任せて、失敗されるのが怖いというリーダーの悩みもある。

そこで役立つのが、心理学者レフ・ヴィゴツキーの提唱した「最近接発達領域(ZPD:Zone of Proximal Development)」という理論だ。
部下が今の知識とスキルでできる仕事(安心領域)と、部下がやったことがなく、今の知識とスキルではまだできない仕事(挑戦領域)。この2つが重なり合う部分、つまりZPDゾーンの仕事を任せるのだ。

ZPDゾーンの仕事とは、上司が少し手伝ったり、教えたりすればできるようになる仕事、部下がチャレンジしたがっている仕事である。

ZPDゾーンを見極めるためには、「部下の能力と適性」と「仕事の種類」のそれぞれを正確に把握する必要がある。
任せるときこそ、日頃の情報収集がものをいう。


斉藤恵一

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